全日本空輸健康保険組合
――― ANA healthy Mail magazine ―――
□■ “けんしん”を紐解こう〜健診&がん検診で行うこと・わかること〜 ■□
(「健診」は全身の健康チェック、「検診」は特定の部位の検査)
- 年に一度の健診は、自分ではわからない体の健康状態や病気のリスクを知ることができる機会です。しかし、「受けてはいるけど、どの検査が何のためなのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。そんな疑問にお答えすべく、健診・がん検診で何を調べ、何がわかるのかをご紹介します。きっと健診の大切さを理解してもらえるはずです。
- 健診の目的は「病気の予防」
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健診は、全身の健康状態を調べて病気を未然に防ぐためのものです。検査結果をもとに生活習慣を改善することで、病気の予防につながります。
検査項目は、「会社での定期健康診断」「生活習慣病予防健診」「人間ドック」などの健診の種類コースによっても異なりますが、ここでは、国から実施を義務付けられている「特定健診(40〜74歳を対象とした、メタボ※に着目した健診)」について解説します。
※メタボ(メタボリックシンドローム):内臓の周りに脂肪が多く蓄積した状態(内臓脂肪型肥満)に加えて、高血圧・高血糖・脂質異常症のうち2つ以上が該当する状態のこと。
【特定健診の検査項目】
●身体計測
身長・体重・BMI
体重と身長のバランスをチェックし、太り過ぎややせすぎを判断します。
また体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)でBMI(体格指数)を計算し、肥満(BMIが25以上)かどうかも調べます。
腹囲(へその高さで測った腰回りのサイズ)
お腹についた内臓脂肪のつき具合の目安になります。メタボ判定基準の1つである、「腹囲男性85cm・女性90cm」は内臓脂肪面積100㎠に相当し、これを超えるとからだに悪影響が出やすくなるとされています。
●血圧
収縮期(最高)血圧・拡張期(最低)血圧
血液が血管の壁を押す力(血圧)を調べます。血圧が高いと心臓や血管などに負担がかかるため、動脈硬化の進行具合や、脳卒中・心筋梗塞などのリスクの程度を判断する手掛かりになります。
●血液検査
血糖:空腹時血糖・随時血糖・HbA1cのいずれか
血液中のブドウ糖(=血糖)の量を測定し、糖尿病・糖尿病予備群かどうかを判定します。血糖が多いと、血管の細胞が傷つき、血管が硬くもろくなりやすいので、動脈硬化の判断材料にもなります。なお、空腹時血糖(10時間以上食事をとっていない状態での血糖値)は、一番血糖が少ない状態でどのくらい血糖があるのかを調べるものですが、やむを得ない場合は随時血糖を測定することもあります。HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1〜2か月の血糖値の状態がわかります。
血中脂質:中性脂肪(空腹時または随時)
コレステロール(HDL、LDL またはnonHDL )
血液中の脂質の量を種類ごとに測ることで、動脈硬化の進み具合などがわかります。「LDL(悪玉)コレステロールやnon HDLコレステロールが多い」または「HDL(善玉)コレステロールが少ない」など、脂質のバランスが崩れた状態(=脂質異常)だと、血管が詰まりやすくなります。
肝機能:AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GT(γ-GTP)
血液中の肝臓で作られる酵素の量から、肝臓の状態を知ることができます。アルコールの飲み過ぎや食べ過ぎが影響していることもあります。
●尿検査
尿糖
尿に糖が混じっているかを調べます。本来、糖は腎臓でろ過されて再び体に吸収されますが、尿中に糖が検出されると、糖尿病、高血糖、腎臓の機能低下などが疑われます。
尿たんぱく
尿に含まれるたんぱく質の量を測定し、腎臓のろ過機能が正常かどうか確認します。異常があると、尿にもれ出るたんぱく質が多くなりますが、激しい運動のあとなどにも尿たんぱくが一時的に陽性になることがあります。
- 検診の目的は「病気の早期発見」
- 検診は特定の部位を検査するものです。中でも代表的なのが、がん検診。がんの早期発見・早期治療につなげ、がんによる死亡を減らすのが目的です。
がん検診もいろいろな種類がありますが、国が推奨している、科学的に効果が認められたがん検診は、以下の5つです。
【がん検診の種類と検査方法】
●肺がん
胸部X線検査(レントゲン)
上半身の前の部分にX線を当てて映したモノクロ画像から肺に影があるかを調べます。
●胃がん
内視鏡検査(胃カメラ)
細長いスコープを口または鼻から入れて胃の中を直接確認します。
胃部X線検査(バリウム検査)
胃の内側をしっかり映すために胃を膨らませる発泡剤とバリウム(造影剤)を飲み、X線を当てて小さいしこりや、しこりになる前の石灰化したがんを見つけます。
●大腸がん
便潜血検査2日法(検便)
自宅で採った便の中に血液が混じっているかどうかを調べて、血液反応があればがんやポリープなどが疑われます。
●乳がん
マンモグラフィ(X線)
乳房専用のレントゲン検査で、透明なプラスチックの板で乳房を挟み、X線を当てて乳腺の状態や影を確認します。
乳腺超音波検査(エコー)
超音波の反射(エコー)を利用して、しこりがないかなどを確認する検査です。超音波の伝わりをよくするために乳房にゼリーを塗り、超音波の出る機械を軽く押し当てます。若い世代は、乳腺が発達していてマンモグラフィで病変を見つけにくいため、超音波検査がおすすめです。
●子宮頸がん
子宮頸部細胞診
子宮頸部を専用のブラシなどで優しく擦って細胞を採取し、顕微鏡で異常細胞があるかを確認し、がん細胞があるかを調べます。
- “けんしん”後は結果の確認と生活習慣の改善を
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"けんしん”は受けて終わりにせず、”けんしん”結果に目を通して、「要再検査」「要精密検査」「要治療」などの場合には必ず医療機関を受診してください。たとえ基準値内であっても、年々悪化している項目がある、運動不足・食生活の乱れといった気になる習慣があるなどの場合には、生活習慣の改善を。がん検診で「要精密検査」と判定された場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。また、保健師などのプロに生活改善を手伝ってもらえる、ヘルシーライフサポート(特定保健指導)の案内が来たら必ず受けましょう。
【参考資料】
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◆ ANA Healthy Mail編集・発行 ◆
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◆ 全日本空輸健康保険組合HP ◆
http://www.ana-kenpo.jp/
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