全日本空輸健康保険組合
――― ANA healthy Mail magazine ―――
□■ 他人事じゃない!今からやろう糖尿病対策 ■□
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今や国民病になった糖尿病。糖尿病または糖尿病の可能性がある人は、日本人の約4人に1人といわれています。近年、20〜30代の若い人ややせている人でも糖尿病になるケースが増えており、他人事ではなくなってきています。放っておくと失明する・足が腐るといった深刻な状態に陥る危険性もあるので、早めの対策が大切です。
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糖尿病ってどんな病気?
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糖尿病とは、血糖値を一定に保つホルモン「インスリン」が減ったり、働きが弱まったりすることで血液中の糖が多くなってしまう病気です。増えすぎた糖は全身の血管を傷つけ、さまざまな合併症を引き起こします。糖尿病の三大合併症として神経・目・腎の障害(頭文字をとって「しめじ」)が知られていますが、えそ・脳卒中・虚血性心疾患(頭文字をとって「えのき」)や、歯周病などにもつながります。
【細い血管で起こる合併症(三大合併症)】
し:神経障害(糖尿病神経障害)
手足のしびれ・痛み、立ちくらみ、筋力低下、下痢など全身にさまざまな影響が出る。
足の感覚が鈍くなることで、怪我などの痛みに気が付かず足が壊死することも。
め:目の障害(糖尿病網膜症)
視界が霞む・見えないところがあるなどの視覚障害が起き、進行すると網膜(目の奥にあり、
目に映った映像を脳に伝える膜)が?がれて失明に至ることもある。
じ:腎臓の障害(糖尿病腎症)
腎臓のろ過機能が低下する。むくみ・貧血・高血圧が起こり、
進行すると透析や腎移植が必要になる。
【太い血管で起こる合併症】
え:えそ(壊疽)
足先などの血管が動脈硬化等で細くなり、血液が行き渡らずに足の組織が腐る。
の:脳卒中
脳の血管の動脈硬化により、血管が詰まる(脳梗塞)、血管が破れる(脳出血)。
き:虚血性心疾患
心臓の血管が詰まる(心筋梗塞)、血管が狭くなって血液が流れにくくなる(狭心症)。
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糖尿病になるのはなぜ?
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糖尿病になる主な原因は次の4種類があります。生活習慣を原因としないインスリンの分泌異常の1型糖尿病、遺伝的要因と生活習慣の乱れ等があわさって起こる2型糖尿病、他の病気や薬などが原因の糖尿病、妊娠時に血糖値が高くなる妊娠糖尿病の4つです。このうち、最も多いのが2型糖尿病で、日本の糖尿病患者の約9割を占めます。
2型糖尿病には加齢によるインスリンの低下・遺伝・体質も関係しますが、大きな要因は生活習慣の乱れです。生活習慣が乱れていると、若い人でも糖尿病になりやすくなります。
【生活習慣による影響】
●食べ過ぎ・飲み過ぎ・肥満・運動不足
内臓脂肪はインスリンの働きを妨げるので、肥満は大きな要因になります。肥満でなくても、食生活が乱れていたり運動不足だと、内臓脂肪が蓄えられてインスリンの分泌に影響が。インスリンの効きが悪くなると、インスリンを分泌しているすい臓に負担がかかって、インスリンの分泌量が減少します。
●喫煙・ストレス
血糖値を上昇させるホルモン(アドレナリンなど)の分泌を高めます。とくに喫煙は合併症のリスクも高めるので注意が必要です。
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自分でできる糖尿病対策は生活習慣の改善!
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糖尿病を予防するには、生活習慣の改善がとても大事です。規則正しい食生活はもちろん、運動習慣をつけると、糖が消費されて血糖値が下がりやすくなり、内臓脂肪の減少にもつながります。併せて定期的に体重を測るとよいでしょう。
下記のポイントを参考に、今日からぜひ改善してみてください。またタバコを吸っている人は、禁煙することも大切です。
【食事のポイント】
●腹8分目を意識する
●3食を規則正しく、よくかんでゆっくり食べる
●野菜やきのこなどの食物繊維が豊富な食材を多く取り入れる
→食物繊維から食べ始めると、食事による血糖値の急上昇を抑えられる!
●お肉や乳製品、バターを使ったお菓子など動物性脂肪は控えめに
●甘いお菓子や甘い飲み物は吸収の早い糖が多く含まれ、血糖値が急激に上がりやすいので控えめに
【運動のポイント】
●1日合計60分以上からだを動かすことを目標に
→家事や通勤などでからだを動かすのもOK
●有酸素運動(早歩きやジョギング等)がおすすめ
→食後1時間以内に行うと食事による血糖値上昇の抑制に効果的
●筋トレで筋肉量を増やす
→有酸素運動の後に筋トレを行うとより効果的
*健診で「要治療」「要精密検査」が出たら病院の受診を!
糖尿病は初期段階ではほとんど症状がなく、気が付かないまま進行し、自覚症状が出たときには重症化している…なんてことも。糖尿病一歩手前の糖尿病予備群の段階でも、血管は傷み始めています。たとえ症状がなくても、健診で要治療・要精密検査などの結果が出た場合は、必ず病院を受診してください。治療を受けて血糖管理ができれば、合併症を予防することはできますので、健診結果の数値や判定を確認して早めに受診しましょう。
【参考資料】
- 厚生労働省e-ヘルスネット「糖尿病」「糖尿病を改善するための運動」
- 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
- 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」
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